経済学では「価値の尺度」「価値の保存」「交換の手段」がお金と呼ばれるものの定義とされています。それでは、それぞれがどんなものなのか見ていきましょう。
価値の尺度(かちのしゃくど)とは、お金の持つ機能の一つです。世の中で提供されている財・サービスに対して金額という尺度で評価することによりそれぞれの価値を相対的に示すことができるようになります。例えば、スイカが800円、メロンが1600円、サンマが100円というように、モノやサービスに値段という尺度を与えることで、価値を判断しやすくなります。
もし、仮に価値の尺度を持つ貨幣が無い場合、メロンを食べたいと思ったとき、それがどのくらいの価値なのかがわかりません。物々交換社会でスイカ2個と交換なのか、それともスイカ3個と交換になるのかが、わからないのです。しかし、メロン1個1600円という尺度があれば、それはスイカ2個分、サンマ16匹分という価値の算出が極めて簡単にできるのです。
価値の保存(かちのほぞん)とは、お金の持つ性質です。紙幣は紙が痛むということは合っても、時間が経過することで腐ったり、価値がなくなったりしません(1万円札はピン札でもぼろぼろでも1万円の価値があります)。このことを「価値の保存」と呼びます。
逆に、商品券などで有効期限が定められているものは期限を過ぎれば価値が0になってしまいますので、価値の保存機能は無いということになります。
交換の手段(こうかんのしゅだん)とは、その経済社会の中で提供されている財やサービスを見合った貨幣を出すことにより交換できるという機能です。つまり、お金を支払いモノを買うことができるという機能です。貨幣に交換の手段としての機能があることで、モノのやりとりが非常に活発化します。
物々交換の場合は、モノとモノの交換になりますので、いらないものとの交換はしません。対して、貨幣の場合なら、そこで得た貨幣は別のあらゆる商品と交換することができるため、取引は活発になります。