株式投資信託における分配金は課税上「特別分配金」とされるものがあります。特別分配金は、投資している投資信託に「評価損(含み損)」が発生している場合、その含み損の範囲においてだされる分配金が特別分配金となり、その部分は非課税となります。
ただ、特別分配金は非課税だからラッキーというわけではありません。特別分配金はたんなる元本の払い戻しと同じ意味にしかならないので、トータルで見た場合は特別分配金も普通の分配金も同じ扱いとなるのです。
特別分配金の説明をする前にいくつか用語を説明します。下記用語はこの説明文中で登場しますので意味を理解しておいてください。
・個別元本・・・ 投資信託の取得価格のこと。あなたが買った価格のこと。
・基準価額・・・ 投資信託の現在価格のこと。要するに時価。
特別分配金とうのは上の(1)の状態のときに分配される分配金(収益分配金)が対象となります。
たとえば、個別元本が10000円、基準価額が9000円の投資信託があるとします。これは10000円で買ったものが、今の価格で9000円に値下がりしているので、1000円の含み損がでていることになります。
この投資信託が下記の通り分配金を出した時の課税上の取り扱いを見ていきます。
この場合、含み損となっている1000円以内の分配金となりますので、全額が特別分配金扱いとなります。そのため、全額が非課税です。
特別分配金により500円の元本が払い戻されたと処理されますので、個別元本は10000円から9500円に引き下げられます。
この場合は、含み損以上の分配金となります。ただ1000円分は非課税、500円分が普通分配金として課税されます。
特別分配金により1000円分の元本が払い戻されたと処理されますので、個別元本は10000円から9000円に引き下げられます。
上の例に書いているように、特別分配金というのは単なる「元本の払い戻し」として処理されます。そのため、特別分配金が出されるとその分個別元本が引き下げられます。
投資信託は最終的に処分(清算・売却)されますが、特別分配金により元本の払い戻しが行われることで、最終的には「譲渡益課税」として課税されます。(ただし、最終的な処分時にも含み損の場合は除く)
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ここではこのページで使われた様々な用語について解説をします。リンク先は「金融経済用語辞典」の用語解説ページ、または関連情報が掲載されているサイトです。
・特別分配金とは
特別分配金(とくべつぶんぱいきん)とは、投資信託の収益分配金において税制上の取り決めのひとつ。分配金を支払った後の基準額が、受益者の1口あたりの個別元本を下回っている場合に、分配金の範囲内においてその下回った部分が特別分配金となる。
・投資信託 分配金に対する税金 (投資信託の税金)
投資信託の収益の配分である分配金(収益分配金)についても所得ですので、当然得た額に応じて税金がかかってきます。ただし、投資信託の分配金は個別元本と基準価額によって「普通分配金」と「特別分配金」に分けられ特別分配金については非課税となっています。