外貨預金の為替差益と確定申告:2026年版
結論:利息と為替差損益を分け、外貨を使った取引も確認する
情報基準日:2026年8月21日
国内銀行の外貨預金の利息は、通常の預貯金利子として20.315%が源泉徴収され、原則として源泉分離課税で納税が完結します。一方、保有外貨の日本円への交換などで確定した為替差益は、個人では原則として雑所得(その他)として申告対象を確認します。
外貨を保有しているだけの含み益には、原則として申告は不要です。ただし「円に戻さなければ常に未実現」とは限りません。2026年6月16日の最高裁判決は、ある外国通貨で別の外国通貨や同一通貨建て有価証券を取得した取引について、その取引時に為替差損益が実現し得ると判断しました。
取引ごとの確認表
| 出来事 | 一般的な確認 | 保存する記録 |
|---|---|---|
| 国内銀行から利息を受け取る | 利子所得・源泉分離課税が通常 | 利息計算書、源泉徴収額、受取外貨額 |
| 外貨を保有したまま評価額が上がる | 含み益だけなら原則申告不要 | 残高、取得日・取得円額 |
| 外貨を円へ交換する | 為替差益は原則、雑所得(その他) | 交換日、通貨額、取得・売却レート、手数料 |
| 同じ通貨のまま銀行間で預け替える | 国税庁の示す事実関係では為替差損益を認識しない | 同一通貨の払出・預入、送金手数料、両口座明細 |
| 別の外貨へ交換する | 2026年最高裁判決を踏まえ実現損益を確認 | 両通貨額、取引時の円換算額、取得価額 |
| 外貨で有価証券・商品等を取得する | 円に戻さなくても外貨建取引として確認が必要 | 購入明細、円換算根拠、使用外貨の取得価額 |
表は一般的な整理です。事業取引、継続的な売買、国外口座、為替予約、仕組預金、外貨建て証券、相続・贈与を伴う場合は課税区分や計算が変わり得ます。
同一通貨の預け替えは事実関係をそろえる
国税庁は、A銀行の米ドル定期預金を満期に同額の米ドルで払い出し、同日B銀行へ米ドルで預け入れた事例について、為替差損益を認識しないとしています。同じ外国通貨の保有状態に実質的な変化がない預入・払出しという前提です。
途中で円や別通貨へ交換した、手数料を外貨で支払った、外貨建て商品を購入したなど事実が違えば、その回答をそのまま適用できません。送金経路を含む全明細を残します。
一度だけ買った外貨の概算
1ドル150円で1万ドルを取得し、後に1ドル160円で全額を円へ交換した単純例では、手数料等を除く為替差益の概算は次のとおりです。
(160円-150円)× 1万ドル = 10万円
複数回購入、一部売却、外貨利息の再運用、別通貨への交換、カード利用がある場合は、使用した外貨の取得価額を一貫した方法で計算する必要があります。税務大学校の2026年公表研究は総平均法に準ずる考え方を論じていますが、研究論文は個別取引への確定的な回答ではありません。取引量が多い場合は税務署または税理士へ計算方法を確認します。
申告要否を「20万円」だけで決めない
年末調整済みの給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下などの条件を満たす人は、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告を要しない場合があります。しかし、これは全員共通の非課税枠ではありません。
- 医療費控除等で確定申告する場合は、20万円以下の所得も併せて申告する。
- 外貨預金以外の副業・暗号資産等の所得も合算して判定する。
- 所得税の確定申告が不要でも、個人住民税の申告が必要な場合があるため住所地の自治体へ確認する。
- 国外で支払われ、国内で源泉徴収されない預金利息等は別に申告要否を確認する。
申告までの実務手順
- 銀行ごとの年間取引明細、利息明細、送金・カード明細を取得する。
- 通貨別に取得日、取得外貨額、支払円額、手数料を記録する。
- 円交換、別通貨交換、証券・商品購入、外貨支払を時系列に並べる。
- 各取引日の円換算レートと出典を固定し、計算表を保存する。
- 国内利息と為替差損益を分け、他の雑所得と合算して申告要否を確認する。
- 所得税を申告しない場合も、住所地の個人住民税申告を確認する。
専門家へ確認したいケース
- 2026年最高裁判決の対象に近い外貨間交換・外貨建て証券取引がある。
- 取得時期や取得価額が不明、複数口座・多数回の決済がある。
- 事業・副業の入出金、海外口座、為替予約、相続・贈与が混在する。
- 損失の取扱い、必要経費、過年度申告の修正が必要になる。
一次情報
- 国税庁「こんな収入の申告漏れにご注意」
- 国税庁「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益」
- 国税庁「株式・配当・利子と税」
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 最高裁判所 令和8年6月16日判決
- 税務大学校「個人の為替差損益に対する所得税の課税に関する考察」(研究資料)
本ページは一般的な情報整理です。個別の税額・申告区分は、取引明細をそろえて税務署または税理士へ確認してください。
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