銀行の役割や機能について説明していきます。銀行は大きく「金融仲介」「信用創造」「決済」という三つの機能を持つとされています。
これらは私たちの生活はもちろん、日本(世界)の経済において大変重要な役割を果たしているのです。このページでは銀行が果たしている役割や機能とそれぞれが私たちの暮らしにどのような影響を与えているのかをまとめていきます。
銀行には前述の通り「金融仲介」「信用創造」「決済」という三つの機能を持っています。これらは私たちの何気ない経済活動に組み込まれているのですが、これがあるおかげで社会は成り立っているといっても過言ではありません。
金融仲介(間接金融)は、銀行自身は預金者から預金という形で資金を調達し、その資金を資金需要がある借り手に対して融通するしくみです。投資家と企業という直接的なやり取りではなく、金融のプロである銀行が仲介することにより、適切な融資が期待できます。
日本の戦後の高度経済成長を支えたのは、この間接金融がうまくいったからと言われています。預金が当時成長産業であった重工業などの企業の資金となり、結果として日本経済は高度成長を遂げ、今の経済大国になっているわけです。
このような金融システムを「間接金融」と呼びます。
私たちが「銀行にお金を預金する」ということが国の経済発展の一つの助けになっているわけです。また、そうやってお金を預けることの対価として私たちは預けたお金に対して一定の「金利(利息)」を受け取ることができるわけです。
銀行預金(普通預金や定期預金など)で利息を受け取ることができるのはこの金融仲介によって得られた収益の一部を還元していると考えることができます。
決済とはその名前の通り金融上の取引の決済を行う機能です。振込や振替、送金といった現金を使わずに銀行における口座間の資金をやり取りするだけで取引を済ませてしまうことを指します。
この決済機能はお金という現物をやり取りしなくても銀行との間での手続きだけでお金のやり取りができるわけです。また、遠くはなれた場所であってもお金のやり取りをすることができるようになります。
最近では、インターネットを通じて銀行取引を行う「オンラインバンキング」も多くの銀行で行われており、PCやスマートフォンなどの普及によってますます利便性が高まっています。
私たちも「振込」や「自動引き落とし」などを使っているかと思います。こういうサービスが銀行の決済機能となります。
信用創造とは、銀行が行う信用(お金)の創造のことです。分かりにくいので例をあげて説明します。例えば、あるAという会社は100万円を持っています。この100万円を銀行に預けます。この銀行は融資先としてBという会社に100万円を貸付ます。
この時点を振り返ってみましょう。
A社:100万円の預金
銀行:100万円の借入+100万円の貸付
B社:100万円の借入+100万円の現金
さらに、このB社は借りた100万円を使って、C社に支払いをしました。このC社も受け取ったお金を銀行に預けました。
再度振り返ります。
A社:100万円の預金
銀行:200万円の借入+100万円の貸付+現金100万円
B社:100万円の借入
C社:100万円の預金
さらに、銀行は・・・・。
以上のように銀行を通じて資金をやり取りすることにより、もともとはA社が預けた100万円が銀行預金を通じて取引が行われることにより非常に大きなものになりました。これが銀行による信用創造です。
ちなみに、この計算で言えば、通貨の供給量は無限に増えることになります。ただし、実際には銀行には法定準備率という規定があり、預金のうち一定割合しか貸出しにはまわせないことになっています。
信用創造により、通貨供給量(マネーサプライ)が増加することになります。ちなみに、法定準備率が10%という場合、資金の増加量は預金額の10倍です。20%の場合は5倍になります。
以上の3つが銀行の役割(機能)とされています。
特に最後の「信用創造」に関して、一般の預金者としては関係ありませんが、銀行は経済・金融にとって欠かすことができないインフラの一つです。